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新NISAで個別株は買える?―はじめてでも迷わない成長投資枠の使い方と“高配当株”攻略術

「新NISAで個別株って買えるの?」「つみたて投資枠とどう違う?」「おすすめやランキングを知りたいけど、結局どれを選べばいいの?」——制度が刷新されてから、こうした疑問を抱く人が一気に増えました。

情報は多いのに、肝心の“最初の一歩”が見えにくい。

この記事は、最短で迷いを減らす地図として、仕組み→コツ→手順→失敗回避の順に整理しました。

読み終えた瞬間から、あなたの“次の一手”が具体的になります。




本記事の結論
個別株は「成長投資枠」で購入可。一方、「つみたて投資枠」では不可(長期積立向けの投信限定)
個別株のランキングの“名前”より選び方の型が大切。迷う人ほど高配当株を軸にするのが再現性高くおすすめ。
選び方は「枠配分→対象確認→少額分割→配当設定」の順。損益通算不可・枠復活の誤解を先に潰す。



それでは早速始めましょう。









新NISAの全体像を30秒で(読みやすく要点整理)

新NISAは二つの枠で構成されます。

ひとつは“つみたて投資枠”。

長期・分散・低コストの投資信託など、金融庁が定める要件に合った商品だけが対象で、個別株は買えません

もうひとつが“成長投資枠”。

こちらは個別株・ETF・REITなど選択肢が広がり、まさに個別株を活用したい人の主戦場です。

年間の上限はつみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円

さらに生涯非課税枠は最大1,800万円(うち成長投資枠上限1,200万円)。

ここで誤解しやすいのが“売ったら枠が戻るか”。

当年の年間枠は戻りません

翌年以降に使える生涯枠が回復するイメージを持てば、過度な回転売買を避ける判断軸ができます。

要するに——土台はつみたて投資枠、上積みは成長投資枠

役割を分けると、制度が一気にシンプルになります。


つみたて投資枠と成長投資枠の違い

つみたて投資枠は、長期の資産形成に適した“要件適合”の投信に限定されます。

低コストで分散が効くため、投資のコア(土台)として最適です。

一方、成長投資枠は個別株がOK

ただし「何でも買える」わけではなく、毎月分配型など対象外の投信もあります。

また海外ETFや単元未満株の扱いが証券会社ごとに違うことも実務上の落とし穴です。

税制面では、新NISA口座内の損失は損益通算や損失繰越ができない点に要注意。

だからこそ、個別株は“短期の回転”より長期前提で設計した方が非課税メリットを活かせます。


迷う人ほど“高配当株”を軸に:おすすめの考え方

紹介されている個別株のランキングは便利ですが、相場の地合いや一時的なテーマで顔ぶれが頻繁に入れ替わるため、再現性に欠けます。

そこで、ひとつの実戦的なやり方として**「高配当株を軸」**にするのをおすすめします。

まず、非課税×配当の相性が抜群です。

通常なら引かれる税金がゼロだから、手取り利回りがそのまま効いてくる

保有継続のインセンティブになり、投資行動が安定します。

次に、評価軸が鍛えやすいのも利点。

利回り“だけ”ではなく、フリーキャッシュフロー(CF)に裏打ちされた配当の持続可能性、無理のない配当性向自己資本比率増配の実績といった指標を、数字で比較できます。

最後に、メンタルがぶれにくい

価格の上下に一喜一憂しがちな時でも、配当が入るという事実が長期の“続ける力”になります。

もちろん注意点もあります。

異常な高利回りは、減配前の兆候だったり、単発要因を含むことがあるため警戒が必要

利回り・CF・配当性向・財務健全性の四点セットで妥当性を確かめるのが鉄則です。


高配当株の“選び方の型”(チェックリストつき)

言い換えれば、「ランキングの“名前”(単に企業名)ではなく、自分の選球眼を持つ」ということ。

以下の型をそのまま参考にしてみてください。(アレンジOK)

最低基準の目安

  • 配当利回り:市場平均よりやや上(例:3〜4.5%台)
  • 配当性向:概ね30〜60%(高すぎ・低すぎは要検討)
  • フリーCF > 配当総額(持続性の裏付け)
  • 自己資本比率:業種平均と比べて極端に脆弱でない
  • 増配/据置の実績:減配リスクの兆候を過去から点検



スクリーニング後の定性確認

  • 収益源の分散(特定顧客/単一商品偏重のリスク)
  • 参入障壁やブランド力、スイッチングコストなどの競争力
  • 中計の実現可能性と株主還元方針の一貫性



仕上げの分散設計

  • 個別株3〜5銘柄+高配当ETFを組み合わせ、業種分散を確保(例:通信/インフラ/エネルギー関連/金融/製造からバランス)
  • ETFをコア、個別株をサテライトにして、銘柄入替の手間とリスクを抑える




成長投資枠での実務フロー(真似してOKの手順)

まず枠配分を決めましょう。

つみたて投資枠は全世界/国内のインデックス投信で“土台”を作り、成長投資枠は高配当ETF+高配当個別株で“上積み”。

年間枠は四半期に分割して投下すれば、急落時の“弾”を残せます。

次に対象商品を照合

買いたい銘柄やETFが成長投資枠の対象かを、証券会社のNISA情報や目論見書で事前に確認します。

注文は少額・分割・指値を基本に。

ボラ(株価変動)が高い銘柄はとくに、最初から満額で入らない方が安全です。

忘れがちなのが配当の受け取り方

NISAの非課税を取りこぼさないよう、「株式数比例配分方式」に必ず変更・確認しておきましょう。

最後に記録と振り返り

取得価額、配当見込み、NISA残枠、配当受け取り設定、そして「売却ルール(減配・業績悪化・希薄化=増資/ストックオプション乱発など)」を、スプレッドシートに固定化。

感情に流されない“仕組み”を先に作るのがコツです。


個別株ランキングの“正しい使い方”とよくある落とし穴

よく雑誌などでおすすめされる個別株ランキングは入口としては優秀です。

ただし、

——ランキングだけで即採用——  は避けましょう。

新NISAは損益通算不可のため、短期の入れ替えは不利になりやすいからです。

よくある落とし穴は三つ。

当年の年間枠が売れば戻るという誤解(戻るのは翌年以降に使える生涯枠)
対象外商品の見落とし(毎月分配など)
証券会社ごとの取扱い差の把握不足(海外ETFや単元未満株など)。

どれも“先に知っておけば避けられる”類の失敗です。


はじめの一歩:ポートフォリオ例

コア:まずは高配当ETFを1〜2本買って、土台づくりをします。ETFは1本で多くの銘柄に分散できるので、初心者でもブレにくく続けやすいのが強みです。

サテライト:そのうえで高配当の個別株を3〜5銘柄だけ。業種を分けて(通信・エネルギー関連・インフラ・金融・製造など)持つと、どれかが不調でも全体が傾きにくくなります。

投下のリズム:一度に買い切らず、四半期ごと(年4回)に分けて買います。さらに決算発表のあと配当の権利日前後など、市場の価格が動きやすい時期に少しずつ追加すると、買う価格が平均化されます。

見直しのルール

次の3つのサインが出たら、感情ではなく機械的に売却を検討します。

  1. 減配(配当が減った)
  2. ROICや粗利率の悪化が続く(= 事業の稼ぐ力が落ちている)
  3. 希薄化リスクの台頭(増資や大量のストックオプションで、1株あたりの価値が薄まる懸念)

ミニTIP:株価が上がりすぎて利回りが下がった(想定より配当のうまみが小さくなった)ときは、「利回り軸のリバランス」=ETFや別銘柄に入れ替え・配分調整を検討。キャッシュフロー(CF)や配当方針が無理なく続くかを再点検します。


用語ミニ解説(超ざっくり)

ETF:株の“詰め合わせパック”。1本で多くの会社に分散投資できる。

ROIC:会社が使っているお金(投下資本)をどれだけ効率よく増やしているかの指標。高いほど“稼ぐ力”が強い。

粗利率:売上から原価を引いた“粗利”の割合。上がっていれば収益体質が改善しているサインになりやすい。

希薄化:新しい株を発行したり(増資)、株数が増えることで1株あたりの価値や利益の取り分が薄くなること。


まとめ

新NISAで個別株を非課税で持ちたい——そのために、制度の要点を短時間で把握し、個別株ランキングに依存せず再現性のある選び方と買い方を持ちたい。

これに対する実務的な解の一つが、高配当株を軸に据え、ETFで分散し、**投入時期を分ける(四半期分割)**という設計です。

理由は明確で、

  1. 非課税と配当の相性が良く、手取りリターンが見えやすい
  2. 利回り・CF・配当性向・財務といった定量KPIで検証可能
  3. 分散と分割で価格変動リスクを平準化できる

からです。

次に進むためのヒント(選べる3案)

  • 設計を言語化したいなら:つみたて投資枠=土台(インデックス投信)、成長投資枠=**上積み(高配当ETF+高配当個別)**という役割分担を書き出すと、以後の判断が一貫します。
  • 銘柄候補を具体化したいなら利回り・CF・配当性向・財務健全性の四点セットで、まずは3〜5銘柄だけリスト化。ここまでで“選び方の型”が身体化します。
  • 小さく試して学びたいなら少額・分割・指値で初回エントリーし、株式数比例配分方式を確認。NISA残枠と配当見込みをメモしておくと、次の一手が計画的になります。




最後に。

“ランキングの名前”は移ろいますが、“選び方の型”は残ります。

非課税という土壌に、分散と規律という肥料を与える――その積み重ねが、新NISA×個別株を長く味方にする近道だと思います。

タイミングはあなたのペースで十分。

必要なときに、上のヒントからできるところだけ拾ってみてください。


本記事の引用元

金融庁「つみたて投資枠 対象商品」ページ
投資信託協会:NISAについてのQ&A
楽天証券FAQ:配当を非課税にする“株式数比例配分方式”
MSCI「High Dividend Yield Indexes Methodology」

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