
はじめに:新NISAが「難しい」と感じるのは当たり前。
2024年から始まった「新NISA(ニーサ)」、ニュースやSNSで聞くけど「つみたて枠?」「成長投資枠?」「年間360万円?」「生涯1800万円?」と、
聞けば聞くほど混乱する──そんな人は少なくありません。
実は、新NISAは“より使いやすくなった制度”なのに、説明が複雑すぎるのです。
この記事では、旧NISAとの違いや投資枠の使い方、そしてよくある誤解「売却したら非課税枠はどうなるの?」まで、ひとつずつ丁寧に整理していきます。
2枠併用で年間360万円/生涯1800万円、非課税は無期限
売っても同年は枠は戻らない。翌年以降に“元本相当”が復活(長期で仕切り直し可)
初心者はつみたて枠→余裕資金で成長枠が基本
それでは早速始めましょう。
目次
そもそもNISAとは? ──「税金がかからない口座」のこと
NISAは「少額投資非課税制度」の略です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。
例えば10万円の利益を出しても、実際に手元に残るのは約8万円です。
しかしNISA口座での運用なら、その税金が“ゼロ”。
つまり、利益をまるごと受け取れる仕組みなのです。これが「非課税」という言葉の意味です。
新NISAで何が変わったの?──旧制度との違いを整理
旧NISAには、次のような問題がありました。(表中の”旧NISA列”)
項目 | 旧NISA(〜2023年) | 新NISA(2024年〜) |
---|---|---|
制度の種類 | 一般NISA・つみたてNISAのどちらかしか選べない | 2つの投資枠を「併用」できる |
年間投資額 | 一般120万円/つみたて40万円 😥 | 最大360万円(つみたて120万+成長240万) 😍 |
生涯投資枠 | - 😥 | 合計1800万円まで非課税で保有可能 😍 |
非課税期間 | 5年または20年 😥 | 無期限(ずっと非課税) 😍 |
売却後の枠 | 復活しない 😥 | 売却した分の枠が再び使える 😍 |
つまり、新NISAは「より大きな投資限度額、より長期的に使える制度に」へ進化したのです。
ポイント① 「2つの投資枠」を同時に使える!
新NISAの最大の特徴は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を両方使えること。
つみたて投資枠(年120万円):長期・分散・低コストの投資信託などに限定。毎月コツコツ“自動積立”で増やす、土台づくり用の枠。
成長投資枠(年240万円):個別株など選択肢が広い“攻め”の枠。値動きは大きめだが、リターンも狙える。余裕資金で少額からが安心。
旧NISAは「一般」か「つみたて」のどちらか一方しか選べませんでしたが、新NISAでは併用OK。
まずは“守りのつみたて”、慣れてきたら“攻めの成長枠”を足す――この使い分けがしやすくなりました。
ポイント② 「無期限の非課税」で長期運用がしやすくなった
旧NISAでは、「一般NISAは5年」「つみたてNISAは20年」と期限が決まっていました。
そのため、期限が来るたびに「売るか、課税口座へ移すか」の判断が必要でした。
新NISAではこれが完全撤廃。
一度NISA口座で買った資産は、何年でも非課税のまま保有可能です。
これはつまり──
“老後までずっと非課税で育てられる”
という、長期投資にとって非常に大きなメリットです。
「年間360万円」「生涯1800万円」──この意味を整理!
年間360万円の上限
1年間で非課税で投資できる金額の上限が「360万円」です。
内訳は次の通り:
- つみたて投資枠:120万円まで
- 成長投資枠:240万円まで (※両方を使わなくてもOK。使う配分は自由)
生涯1800万円の上限
投資の合計が1800万円に達するまで、非課税で運用できます。
ただしその中で、成長投資枠は最大1200万円までという制限があります。
枠の種類 | 年間上限 | 生涯上限 |
---|---|---|
つみたて投資枠 | 120万円 | 1800万円(全体の中で自由) |
成長投資枠 | 240万円 | 1200万円まで |
合計 | 最大360万円/年 | 最大1800万円 |
どの枠から使えばいい?(迷ったらこの順番)
結論から言うと──
まずは「つみたて投資枠」から始めるのが基本。
理由はシンプルです。
2. 金融庁が認めた投資信託だけが対象で、初心者にも安心
3. 1度設定すれば自動で運用できる(放置でOK)
慣れてきたら、余裕資金で「成長投資枠」を使いましょう。
こちらは株式など値動きが大きく、リターンもリスクも大きい分、学びながら活用するのがおすすめです。
「売却したら非課税枠は復活する」ってどういう意味?
ここがもっとも多くの人が混乱するポイントです。
旧NISAでは、一度枠を使うと「売っても枠は戻らない」仕組みでした。 新NISAでは、これが大きく改善されています。
状況 | 旧NISA | 新NISA |
---|---|---|
2024年に100万円投資 | 枠100万円使用 | 枠100万円使用 |
翌年に売却 | 枠は戻らない | 売却分100万円が復活! |
再投資 | 不可 | また投資できる! |
つまり、新NISAでは生涯1800万円という枠が設定されているので、売れば、その1800万円の枠の中で再利用できるのです。
これは長期投資において大きなメリットであり、「失敗してもやり直せる」制度設計になっています。
ただし、
例えば:
2024年に100万円投資 → その年の枠は360万円中100万円消費
2024年中に売却 → 枠は翌年2025年に復活
- この点を理解していないと、「あれ、買えない…」と混乱する原因になります。
投資初心者が意識すべき「リスクと生活資金のバランス」
次に「どのくらい投資に回すべきか」についても整理しておきましょう。
新NISAは非課税とはいえ、元本保証ではありません。
値下がりすることもあります。
そこで大切なのが、次の3ステップです。
ステップ1:生活防衛資金を確保
生活費の3〜6か月分は現金で残しておく。
これが“安心して投資できる土台”になります。
ステップ2:余裕資金でつみたて投資枠を利用
最初は月1万円〜3万円からでもOK。
長期で積み立てることで、時間分散の効果が働きます。
ステップ3:学びながら成長投資枠を活用
株式やETFなど、少額で試してみて仕組みを理解する。
少しずつ自分の“投資スタイル”を確立していくことが大切です。
ケース別ミニ例(数字はあくまで“イメージ用”)
長期の平均利回りの考え方を示すための例です。
ケースA:月3万円で“まず習慣化”
- つみたて枠で年36万円。20年で元本は720万円。
- 長期で年3〜5%を仮に期待レンジとすると、概算の評価額目安は約970万〜1,180万円。
- コツ:増えない時期も“安く多く買える期間”と捉え、設定をいじらない。
ケースB:つみたて+成長投資枠100万円
- つみたて枠は自動運転、年100万円を成長枠で。
- ルール例:年1回のリバランス、損切り/利確のマイルールは先に文字で。
- 失敗しても、翌年以降に枠復活でやり直し可。
ケースC:50代・値動きは控えめに
- 無期限を活かして、価格変動の緩い商品比率を上げる。
- 成長枠は“少額で学ぶ”レベルにとどめ、現金クッションを厚め(生活費12か月分など)。
よくある質問(最短でモヤっと解消)
Q1. 同じ年に売ったら、非課税枠は戻りますか?
A.
Q2. 年間360万円と生涯1,800万円、どっちが大事?
A. どちらも大事ですが、役割が違います。年間は「今年の投資可能量」、生涯は「非課税で保有できる総量」です。
Q3. 初心者はどちらの枠から?
A. つみたて投資枠から。自動積立・長期・分散・低コストで「続けやすさ」が段違いです。
Q4. 成長投資枠ってリスク高い?
A. 値動きは大きめです。少額で慣れてから、**“自分のペース”**で広げましょう。
Q5. 家族全員で口座は作れる?
A. それぞれ条件を満たせば、一人一口座で作れます(金融機関は年単位で変更可能)。
まとめ── 「新NISA」は“長く使える・やり直せる”制度に進化した
✅ 制度のポイントは3つです。
2つの枠(つみたて+成長)を自由に使える
非課税期間が無期限になった
売却すれば枠が復活する
この3点を押さえるだけで、新NISAの仕組みはほぼ理解できます。
そして何より大切なのは、焦らず少額から始めること。
投資は「時間」が最大の味方です。
仕組みを理解し、自分のペースで長く続けていくことで、
新NISAはあなたの将来資産を支える強力な味方になります。
補足:本記事は下記のリンクを参考にしています。
金融庁:NISAを知る(制度の要点・図解)
金融庁:資料コーナー(スライド/ガイドブック/FAQ)
金融庁:NISAを利用する皆さまへ(2024制度説明スライド)
SBI証券:新NISAの上限額・限度額まとめ(新旧比較・360万/1,800万/1,200万の整理
SBI証券:当年内は枠が増えない注意喚起(売却と枠復活の実務的注意)
もし、次のステップに興味がありましたら下記が参考になります。
・さらに理解を深めたい方:インデックス投資とは?初心者に最適な理由と注意点 記事をチェック!
・既に口座を持っている方:つみたて枠から月1万円でも始めてみよう!
・まだ、口座を開設していない方:まずは金融庁認定の証券会社で「NISA口座開設」