
評価が真っ赤。
胸がざわつき、アプリを開く指が止まらない——。
「このまま続けて大丈夫?」「損切りすべき?」そんな迷いは、とても自然です。
ですが“短期のマイナス”は投資の世界でごく普通に起こります。
まずは”普通に起こること”に対する理解と長期の視点を身につければ、不安は次第になくなります。
✅ 短期のマイナスは“普通”:相場・商品・為替の3要因で起こるのが普通。
✅ NISAは損益通算不可。マイナスで売っても他口座の利益と相殺できない(=税務面の“取り返し”が効きにくい)。だからこそ軽率な損切りは避けたい。
✅ インデックス積立は原則“継続”:広域・低コストがコアなら、金額の一時減額/再開ルールで呼吸を整える。
✅ 個別株・高配当は“事実ベースで判定”:減配・業績悪化・事業構造の変化など仮説破綻があれば縮小/撤退、将来の配分は分散重視へ再設計。
✅ 具体的な分岐フローや手順は前回記事を確認(「新NISAがマイナス…どうする?」の詳細ガイド):
それでは早速始めましょう。
目次
なぜ“短期のマイナス”は普通なのか

下がるのは“失敗”ではなく“現象”。
まずは原因の切り分けで、感情と事実を分離します。
相場要因:景気・金利・地政学など“市場全体の波”。インデックス中心なら多くはここが主因。
為替要因:外貨建て資産は円高で評価↓、円安で評価↑。ヘッジ有無でブレ方が違う。
商品要因:テーマ特化・高コスト・レバ・個別集中はボラ大。マイナス幅が心理的に重くなりやすい。
→ “主因はどれか?”が分かるだけで、「継続か見直しか」の判断が一段ラクになります。
NISAの制度の基礎を理解する

「非課税だからお得」だけで投資すると、後の対応を間違いやすいです。
何ができて、何ができないかを整理しましょう。
- 損益通算・損失繰越は不可:NISAの損失は税務上“なかったもの”扱い。赤字で切っても他口座の益と相殺できません。
- “年間投資枠”は同年に復活しない:売却してもその年の購入余力は増えず、使い切り。復活するのは翌年以降の非課税保有限度額(総枠)です
- 長期目線が大事:“税金で取り返す”道がないNISAでは、短期の感情ではなく長期の期待値(分散×低コスト×積立)で判断するのが合理的。制度の図解は金融庁スライドが最短。
インデックス積立の迷い——「下がっても保有?」への答え

保有している投資商品が広域インデックス×低コストなら、原則は継続が王道。
とはいえ金額は、あなたが安眠できる額に調整すべき。
- 継続が筋:積立は“下落時に単価を下げる仕組み”。将来の回復局面で効きます。
- 金額調整で呼吸を整える:不安が強ければ一時減額や一時停止→計画的再開。
- ルールを言語化:例)「年1回だけ点検」「ニュースで売買しない」「最大ドローダウンX%を許容」。
個別株・高配当の迷い——“損切り”は事実ベースで決める

個別株は、その企業の”自分が購入時に重視した理由”が変われば撤退が正解。
でも“理由なき恐怖”での損切りはNGです。
- 事実で線引きする(仮説の検証):買付理由(成長ドライバー、配当方針、財務体質、競争優位)が事実で否定されたか? 例:減配発表、業績ガイダンスの下方修正、構造的シェア喪失、財務悪化など仮説破綻があれば縮小/撤退。
- 個別株のパッケージ化を検討:「銘柄選定に自信が持てない・ニュースであなたの心が揺れる」なら、ETFや広域インデックスへ振り替え、分散でリスク源を薄める。(例:高配当個別株→高配当ETF、単一セクター→広域指数)
- 将来分の乗り換え:NISAの制約上、既存分を即売→買い直しは慎重に。新規の配分変更から始めるのが現実的。
- “価格”ではなく“購入理由”で切る:「-20%で必ず損切り」より、購入理由の破綻を主因に。価格は従因。数字は警報であって理由ではない。
まとめ

評価額が下がるたびに不安を感じるのは自然です。
でも、短期のマイナスは投資の“通常”。
インデックス商品は原則として積立を続けつつ、個別株は「買った理由」が事実で支えられているかだけを淡々と点検しましょう。
NISAでは当年の枠は売っても戻らない/損益通算不可という前提があるため、感情ではなく事実で動くのが適切です。
迷いが強いときは“即断の二択”よりも、縮小→分散→将来配分の見直しという段階的な設計が有効です。
本記事の整理と今後
- インデックス投資であれば、原則継続。積立の金額・配分が“眠れる水準”か再確認
- 個別株は「買付理由」が今も事実で支えられているかだけを確認。事実によって損切り・継続を判断
- 「実行手順の詳細や分岐」は前回記事で補強 → 新NISAがマイナス…どうする?(詳細ガイド)
本記事の引用元
- 金融庁|2024年からのNISA 概要
- 国税庁|NISAに関するQ&A(損益通算・損失繰越の取扱い)
- 日本証券業協会|新しいNISAのQ&A(投資枠・非課税保有限度額)