「株式投資はテクニカルでやるべきかファンダメンタルでやるべきか」
当時、株式投資の初心者であった私もこの疑問をもっていました。
投資を始めて間もない頃の私はテクニカル派であり、株価チャートのみで投資判断を行って利益を出したり損失を出したりを繰り返していました。
一方で投資を始めて12年経った今では、すっかりファンダメンタル一本となり、「テクニカル」「ファンダメンタル」などの区分は、すっかり忘れてファンダメンタル投資を行うようになっています。
財務諸表やその他の企業分析に基づく方法が完全に根付いたのです。
ただし、私もテクニカル投資を完全に否定するつもりはありません。
初心者であった頃の経験から、当時の気持ちがよくわかるからです。
中には株式チャートのみをもとに売買を行い、多額の利益を得る人もいるでしょう。
それをエンターテイメントとして楽しめるならいいと思います。
ただ、残念ながら、長期的にそれで利益を出し続けるは極めて困難です。
今回の記事では、その理由と私が辿り着いたファンダメンタル分析のやり方(基礎)についてご紹介します。
目次
ファンダメンタルとテクニカルのちがい
簡単におさらいすると「ファンダメンタル投資は企業の財務情報に基づく投資法」 「テクニカルは株価チャートに基づく投資法」といえます。
財務に着目するか、株価チャートに着目するかのちがいです。
私は長期的にはテクニカルはおすすめしません。
理由を2つ説明します。
理由1:テクニカルはゼロサムゲーム
まず、テクニカル派の人は1か月足や週足のような長期足よりも、1分足や5分足のような比較的短期足を多用します。
これは、長期トレンドになるほど株価は企業の経済特性を反映しやすくなるので、あえてテクニカル分析を行うメリットが薄まるからです。
(長期トレンドは、株価チャート変動よりも企業の経済特性(ファンダメンタル)に強く影響を受ける)
なので、テクニカル投資では1日もしくは1週間程度の短期間で売買を行うことになりますが、これが実はゼロサムゲームになってしまうのです。
ゼロサムゲームとは「サム(総量)がゼロの世界」であり、誰かが10万円得したら、誰かが10万円損をしている世界です。
(厳密には証券会社の手数料が引かれる分、マイナスサムになる)
優良企業の利益は年々増加していく傾向にありますが、さすがに1日とか1週間では、利益はほとんど増えません。
サムがが増えていない状況で株式の売買を行うことは、パイの奪い合いが起こります。
全員が株価チャートを見て短期取引をしても約半分の人はマイナスになります。
この行為は確率論的に期待値は0になるのです。
理由2:成功者の実績が弱い
2番目の理由はテクニカルで成功した人の実績が比較的弱いことです。
テクニカルのみで数千億円規模の個人資産を築いた人は見当たりません。
日本で言えば、cis氏やBNF氏の数百億円程度が上限でしょう(私がどうこう言える身分ではありませんが。。)。
一方でファンダメンタルではウォーレンバフェット、ピーターリンチなど数多くの投資家がいます。
ウォーレンバフェットに関しては個人資産が8兆円に達しています。
長期的な運用成績で言えば、企業の財務状況やブランドを着目するファンダメンタル分析の方が優位なのは、揺るがないというのが現在の状況です。
私の周りでも経験を積むほど、ファンダメンタル分析に移行する方が多いです。
以上のように、テクニカルがいいか悪いは別として、上記2つの理由があることは知っておいてください。
それでもし、これからファンダメンタル分析を始めてみようと思った方は下記も参考にしてみてください。
ファンダメンタル分析のやり方
ファンダメンタル分析の指標
☑ 売上高純利益率
☑ 自己資本比率
☑ ROA
☑ ROE
上記が企業の経営効率や財務安全性に関する代表的な指標です。
まずはこれを確認してみましょう。
証券会社に口座開設しているのであれば、その証券口座のツールを使って確認してもよいですし、バフェットコードのような非証券会社系の無料ツールを使ってもよいでしょう。
売上高純利益率は「売上に対してどれくらいの利益を上げているか」で利益率の指標あり、自己資本比率は「借金ではない資本の比率」で安全性の指標です。
ROAは「総資産に対する純利益の割合」ROEは「自己資本に対する純利益の割合」です。
☑ PER
☑ PBR
割安さの指標として代表的なのがPERとPBRです。
PERは「1年の純利益に対して何倍の株価がついているのか」 PBRは「純資産について何倍の株価がついていのか」を計る指標です。
最低限これは覚えましょう。
どちらも値が低いほど割安になります。
分析する上で重要なこと
・業界平均、競合他社と比較する
抽出したファンダメンタル指標は、必ず複数年の推移を確認してください。
単年度だけだと、今が上がり調子なのか、下がり調子なのか、安定しているのか、不安定なのかがわからないためです。
これも証券会社のツールなどで確認できます。
指標が悪化している場合は、それ相応のPERやPBRでなければ、投資するのは危険です。
もう一つ重要なことは、業界平均や競合他社と比べることです。
なぜなら、業界によっても原価率や利益率などが異なるためです。
例えば、鉄鋼業などは原価8割程度であるのに対して、IT系は6割程度が平均です。
業界内や競合他社と比べないと、その企業が優れているか判断できないので必ず比較するようにしましょう。
業界平均は、有報キャッチャーなどで調べられます。
1次資料の入手方法
指標は計算しなくでもツールで取得できる時代ですが、万が一のため、自分で計算できるようにしておきましょう。
(過度にツールなどの計算値に依存していると、仕様変更があった場合に苦労することになります。)
有価証券報告書、決算短信、決算説明資料などの1次資料に記載されている財務数値から計算できますので入手してみてください。
EDINETやTD-NETからでもよいですが、これも横断的に検索できる有報キャッチャーが便利です。
尚、有価証券報告書や決算説明資料では、財務情報だけではなく、企業に関する強みや課題、市場動向なども記載されています。
投資判断に役立つ定性情報が多く載ってますので、併せて確認するようにしてください。
まとめ
ファンダメンタル投資をおすすめする理由と基礎的なやり方についてご紹介しました。
企業の強みを分析すればするほど、あなたの損失リスクは下がります。
そして分析した経験は必ず今後に活きてきます。
是非とも少しづつでも始めてみてください。
本記事が参考になれば幸いです。